3rd
こちらはご存じの方も多いと思うのでスルーしようと思っていたのですが、MP3も扱ったことだし、日曜以外の更新で増刊的に書く分にはいいかなと。
——————–
さて、古いネットユーザーには、MP3同様、gifにも特許問題があったのをご存じの方がいらっしゃると思います。これを保有していたのはUNISYS社。同社は1985年に「LZW(Lempel Ziv Wilch)圧縮法」についての特許を取得し、旧CompuServeが推奨したGIF形式は画像データを同技術で圧縮されており、CompuServeと Unisysとの間で1994年、ライセンス契約が結ばれました。この時点から、商用ソフトではライセンスの徴収が始まりましたが、フリーソフトについては特許料をとらないという方針であったため、フリーソフトにはgifをサポートするものが大量に生まれました。
その後、ファイルの軽さや使用方法の多様性などにより、急速に普及しました。特に、ここから普及し始めたWebの画像にはかなり重宝されました。あと、gifアニメなんてものも生まれましたね。以下のは当時の代表的な作品。
ちなみに、元ページはすでに閉鎖され、作者の方は消息不明だそうです(あれから10年か……)。
——————–
しかし、ネットの爆発的な普及でそこに金を見いだせると思ったのか、1999年にいきなりフリーソフトウェア向けの無料のLZWライセンス(事実上のフリー許諾)を廃止。そしてgif形式に対応したフリーソフトの作者にも特許料を請求しはじめ、gif画像を公開していたネットユーザに対しても、特許使用許諾を得たソフトウェアを使っていなければ直接Unisys社に特許料を支払うよう要求したということ。
これには、フリーソフトの作者だけではなく、ユーザーからも大反発を喰らい、「gifを利用するな」という動きが世界中に起こります。そしてgifを使わないキャンペーンもネット上で展開されました。その数々の運動の結果、多くのフリーソフト、そしてWebの画面から、gif画像が消滅してゆきました。ちなみに今でも、この事件の余波で、「ユニシス」と聞くと同社OSよりもこっちを思い出して拒否反応を起こす人が少なからずいるみたいです(ただし、現在の日本ユニシス社は、米UNISYS社が権利を全て譲渡してしまったために、当時のUNISYS社との関係はありません。参考:日本ユニシス – Wikipedia)。
同時に、gifに変わる特許のないフォーマットを生み出そうという動きも始まりました。そしてWWWの標準化団体W3Cは特許のしがらみのない画像フォーマットを求め、GIFに代わる形式としてPNGの標準化を制作し、これの標準化に乗り出します。そしてpngはブラウザにもサポートされ、ネット上でほぼjpegやgifと同じように使っても差がないフォーマットとして普及してゆきました。ちなみに、ゲームでも透過の問題などでpngが使われることがけっこうあります。
ただ、21世紀になると回線が増強され、HDDの容量も増えてきたなどのこともあり、gifやそれに変わるpngではなく、jpegが一般的な画像フォーマットになったため、Webについては両者の必要性はあまりなくなりました(まあ、jpegは不可逆フォーマットで、前者2つは可逆フォーマットですが、不可逆でもかまわない人、それ自体知らない人にはあまり関係ないだろうし)。とはいえ、pngはそれなりに普及し、今でもよく見ることがあります。イラスト系を保存したらpngだったとかいうことはあるでしょう。
しかしその数年後、アメリカでは2003年6月20日に延長申請をしなかったために、同社の権利は失効し、日本でも2004年6月20日に失効しました。
■GIF特許、日本でも期限切れに (ITmedia)
ここから、gifのサポートを控えていた各種ソフト(特にオープンソースなど非商用やフリーソフト)は、サポートを復活させました。そして今でも、アイコンなど色数が少なくてもよいものなどはgifのものををよく見かけますね。
——————–
これを見て思った人もいるでしょうが、MP3の歴史と似ているのですよね。すなわち、普及→ライセンス主張→反発して新しいフォーマット(ogg、png)誕生というあたりが(とはいえ、MP3は一般ユーザーにライセンス徴収をすることはなかったようですが)。そのほかに、普及したフォーマットでこういった権利主張を行うものがあまり出てこなかったのは、結局のところそんなのをしたところで普及が止まり、そして代わりが出てくるといった歴史故出はないかと思ったりします。