21st
この漁業協定は、中台関係に楔を打つという意味で、日本外交のクリーンヒットという評価だった。実際、寝耳に水だった中国は、「4.10ショック」と呼ぶほどの衝撃を受けた。
だが、私が北京で聞いた限りでは、「4.10ショック」と言う割に、中国側はそれほど深刻に捉えている風でもなかった。むしろ、このショックをチャンスに変えようとしていると思えた。
つまり、日本が漁場を台湾船に開放したということは、日台の漁船で必ず衝突が起こる。台湾漁船が規定ラインをはみ出したりしたら、すぐに海保の巡視船が飛び出してくるから、そこでまた騒動になる。つまり、これまであまりなかった日台間の海洋権益の衝突という事態が、今後勃発する可能性があるのだ。
そうするとどうなるか? 5月9日にルソン海峡で起こった事件の「フィリピン」を「日本」に置き換えると、同様のことが起こるわけである。
つまり、中国がしゃしゃり出てくるわけだ。「台湾漁船の問題はすなわち中国漁船の問題」というのが中国の論理である。台湾=わが国の漁船に対して日本は何をするのだと言って、敵国・日本に対して中台共闘を呼びかける。台湾は民意に弱い土地柄だから、民意が中国に味方したら、たちどころに「第3次国共合作」が成立するだろう。実際、習近平主席は、2月に訪中した連戦国民党名誉主席に対して、日本を共通の敵とした「第3次国共合作」を提案した節がある。